熱心なカトリック教徒から共産主義へ……アイスランド人ノーベル文学賞作家ハルドル・ラクスネスとは!?

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ハルドル・ラクスネス

『独立の民』『アイスランドの鐘』などを世に送り出し、20世紀を代表する偉大な作家となったハルドル・ラクスネス
今回は国際的にも知られている、アイスランド文学を語る上では欠かせない作家ラクスネスの生涯についてご紹介します!

心移りしやすいタイプ!?ラクスネスの生涯

ラクスネスが生まれたのは1902年のレイキャヴィーク。
幼い頃祖母に聞かされた昔話などに影響を受けた彼。早いうちから読書や物書きをはじめ、高校を中退した後17歳で初めての小説『Barn náttúrunnar』(「自然の子」、未訳)を刊行します。

また、1922年にはルクセンブルクにあるベネディクト会の修道院で神学を学び、キリスト教を熱心に信仰します。
しかしラクスネスの信仰深さはそう長く続かず、アメリカに滞在した1927~1929年の間には社会主義に惹かれるようになります。
そのため1934年に発売された『独立の民』には貧しさや庶民の生活等、彼の社会主義への興味が表れています。

そして、続く時期に書かれた19世紀のアイスランド人詩人をテーマにした『Heimsljós (1937)』(「世界の光」、未訳)と、歴史ものの大作『Íslandsklukkan (1943-1946)』(「アイスランドの鐘」、未訳)はラクスネスの代表作になりました。彼の功績は国外でも広く認められるようになり1955年には、アイスランドの物語や芸術を一新させた彼の叙事詩の力に対して、ノーベル文学賞が送られました。彼の文学はこれまでのアイスランド文学において「最も巧みで多彩である」との評価を受けています。

結局1956年に起きたハンガリー革命の弾圧で彼はソ連に失望するようになり、社会主義からは離れるように。
晩年は回顧録やエッセイなどの執筆に力を入れいくつかの賞を受賞したものの、アルツハイマー型認知症を発症し老人ホームに移ります。
結局彼はそのまま老人ホームで3年を過ごし、95年の生涯を終えることになりました。

キリスト教の信仰に始まり、社会主義へと心が惹かれていった浮気性タイプ(?)なラクスネス。
日本語に翻訳されている本は『独立の民』などごく一部で、その本も現在絶版となっています。

ただノーベル文学賞を受賞した彼の文学は一読の価値あり。Amazonでは英語やアイスランド語の本が購入可能なほか、図書館や古本屋などに置いている場合もあります!運よく見つけた方は是非読んでみて下さい!

ライター
のちぇ

3度の飯と海外旅行、猫が好きなちゃらんぽらん。読書や映画鑑賞、料理とゲームが趣味。好きな食べ物はアイスクリーム。現在リングフィットアドベンチャーで瘦せようと頑張っているが、動いた分の3倍食べてしまうため痩せる気配はない。